英単語を語呂合わせで覚えることは効果的?
英語を学習する中で、最も基本的でかつ最も悩みが多いのが、どうやって英単語を覚えるのかということでしょう。
英単語を一度見ただけで覚えられたらと、だれもが一度は思ったことがあると思います。
私もそうでした。
日本語を覚えるのには、まったく苦労した覚えがないのに、なぜ英単語を覚えるのはこんなに苦労するのだろう?
英単語の本を覚えようと、意気込んで取り組んで、最後のページまで行くと、最初のページの単語はほとんど忘れてしまっている・・・
自分の記憶力のなさに、何度も落ち込んだことがあります。
でも、ブログなどの体験記を読んでいると、この経験は日本人共通のようです。
いや、世界の人々も、英単語の暗記には苦労しているようですよ。
YouTubeなどに、いろんな英単語の記憶法の動画がアップされているのが、その証拠でしょう。
何度やっても記憶できない英単語を、何とか簡単に、確実に覚えることができないだろうか?
そこで、語呂合わせで英単語を記憶しようとしますよね。
語呂合わせで英単語を記憶することは、効果的なように思えますが、やり方を間違えると、逆に手間を増やしてしまいます。
語呂合わせが、ダイレクトに役に立つのは、学校などで行われる単語テストのようなものだけです。
英単語を見て、その意味を日本語で書く、またその逆、日本語を見て英単語を書く。
このようなテストが、明日行われるけれど、まったく準備できていない、という状況の場合は、語呂合わせ記憶術がとても役にたつでしょう。
それ以外の場面では、語呂合わせだけで記憶した英単語が役に立つことはないでしょう。
agony = 苦痛、激しい痛み
という英単語があります。
有名な語呂合わせで、「アゴに(agony)アッパーカットを受けて激しい痛み」というものがあります。
とてもよく考えられた語呂合わせですよね。
先ほどのように紙に書くだけのテストなどなら、これで効果が出るかもしれません。
でも英単語って、ほとんどの人は英語で会話がしたくて学ぶものです。
目的が会話までのレベルであるならば、語呂合わせで覚えることはあまり効果的ではありません。
なぜ効果的ではないのか?
会話に先ほどのagonyが出てきた場合、「苦痛」「激しい痛み」という日本語を頭の中で考える余裕などまったくありません。
正確には測れませんが、agonyの意味を判断する時間なんて、きっと1秒以下です。
それを語呂合わせで思い出そうとするなんて、確実にタイムオーバーしてしまうでしょう。
そして発音の問題があります。
「アゴに」はagonyの発音としては、正しくありません。ネイティブが発音したのを聞くと、「アガニ」(正確な発音をカタカナで表現することはできませんが)と聞こえると思います。
間違った発音を記憶してしまう可能性が、語呂合わせにはあります。
語呂合わせは使い方を間違えると、英語習得から離れる可能性があるのです。
では語呂合わせを効果的に使うためには、どうすればよいのでしょうか?
語呂合わせを使うのは、英単語と日本語をつなぐための手段の一つと考える必要があります。
語呂合わせで単語を覚えることが目的ではありません。
ここ少し難しいと思いますが、とても重要なことです。
英単語を語呂合わせで覚えたら、次は語呂合わせを使わなくても、英単語の意味が思い出せるように、練習する必要があるということです。
agonyってどんな意味だっけ・・・「アゴに(agony)アッパーカットを受けて激しい痛み」だから、えっっと・・・「激しい痛み」だ!
これではダメなんです。
agonyを見たら、1秒以内に「苦痛」「激しい痛み」ということが思い出せるようにする必要があるのです。
そこに至るために、語呂合わせを使うということであれば、語呂合わせの威力を発揮することができるでしょう。
そして、英単語を記憶するときには、必ず音声の教材も一緒に使うことが重要です。
正しい発音をしっかりと記憶するためには、書かれたテキストだけでは不十分。
また耳で聞くことで、聴覚も刺激しますので、記憶強化にも役立ちます。
オーディオを使った勉強は、意外と面倒でやらない人も多いようです。
しかし、語呂合わせを効果的に使いたい場合は、ぜひ音声もしっかりと活用してくださいね。